幼馴染はお医者さん

「おはよう」

「愁くん...今なんじ?」

「7時前」

診察室には窓がなく朝なのか夜なのかもわからない。

「やっば。仕事行かなきゃ」

「熱測って。」

体感はマシになってる

...ピピピピ

37.9℃

「かして」

...

...


「仕事終わったらまたここに戻ってきて俺の判断で必要なら点滴するって約束するなら今日は行ってもいいよ」


「え?本当?」


「昨日の晩、ちゃんと病院これたし
今日も来れると信じる。
ただ俺、今日、仕事になってしまって病院にいる。
迎えに行けないけど自分でこれるか?」


「...」


「じゃ行くな」

「いや...」

「即答できないなら行くな」

「ちゃんと戻ってくるから」

「約束だぞ、わかったな?」

「うん」

「よし、気をつけていってこい」

一悶着はあったけど
仕事に無事行けた。

体調は絶不調だけど
なんとか仕事を終えた...

愁くんと約束したから
ちゃんと病院に行かなきゃと
わかっていながらもなかなか足が進まない

自分から行けるって言ってしまったし
行かないとなぁ...
でも点滴かぁ
帰ってゆっくりしたい

仕事の帰り道
考えながら
トボトボ歩いていた

気がつけば自宅...
病院には行けなかった

愁くん...
ごめんなさい

家に帰って部屋でゆっくりしてると
愁くんから連絡がきた

《どこにいるの?》

《今日残業で行けそうにない》

咄嗟に嘘をついてしまった。
明日も仕事なのに
病院行って点滴打って...

疲れてもっとしんどくなる。

今は家でゆっくりしたい

しばらくしたら電話がかかってきた

...プルルル

愁くんだ。
約束破った私が悪いのはわかるけど
もう治療はやりたいない
治るかわからないのに病院に行く理由が
まだわからない

電話に出ずにテレビを見てると
またメッセージが来た。

《もうタイムオーバーだな。
約束破った。俺はもうきりを信じない》

あーあ
見離された。
そうだよね。

仕方ない。
私が悪いのはわかってるけど
本当にもう治療する気ないんだ

ごめんね。愁くん

無視をしてその日は寝落ちをした

次の日もその次の日も
いつも通り出勤して発作が出たら
吸入し熱が出てきたら解熱剤を飲んで耐えた

別に病院行かなくても生活できることがわかった数日だった
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