幼馴染はお医者さん
「ただいま」
玄関の靴がいつもより多い。
お客さんかな
「えっ」
リビングに行くとテーブルに
愁くんが座っていた。
愁くんママ、愁くんパパもみんないる。
「なに?みんな揃ってどうしたの?」
「あらっきりちゃん、おかえり。
今日ね久しぶりにみんなでご飯食べることになったの。」
昔は毎週のようにこうやってみんなでご飯を食べていた。
私の家に来たり愁くんの家に行ったり
ワイワイ過ごす時間が楽しかった。
「きり、おかえり」
うちのお父さんも帰ってきていた。
「お父さん、今日早かったんだね。」
「おう、みんなでご飯食べるって聞いて急いで帰ってきたんだ」
私に連絡なんか来なかった...
愁くんと会うのも半年ぶりくらいかも。
ドキドキしちゃう。
「久しぶりだな、きり」
「...うん」
「きりも社会人になったんだな。
早いなぁ」
愁くんが話かけてくれた。
この声。
大好きなの。
優しい安心する声。
「早いよねぇ。まだまだきりは子供だけどね。今日なんか病院すっぽかして電話きたし」
お母さん、、、余計なこと言わなくていいの。
「きりちゃんらしいわ」
みんな笑っている中
私のことを睨んでいる人が若干1名。
もちろん愁くん。
愁くんは私が身体弱いのも知ってるし
喘息なのももちろん知ってる。
病院苦手なのも知ってる。
だから病院行かなかったなんてあまり知られたくない情報...
しかもタイミング悪く
今日の出来事。
なんでお母さん言っちゃうの。
「きり、おいで。」
愁くんが席を立って私の手を掴んだ。
「おばさん、ご飯できたら呼んで。
きりの部屋いるから!」
「わかった。」
そのまま階段をあがって私の部屋に入れられた。
幼馴染だけあって私の部屋の場所も知ってるし私の大学受験の時なんかは忙しい中、お勉強を見てもらってた。
うちのお母さんもお父さんも
愁くんのおばさんもおじさんも
部屋にこもっても何とも思っていない。
年頃の男女なのに
幼馴染すぎてなにもない