幼馴染はお医者さん

病院に戻ってきて
愁くんに2つの選択肢を言い渡された

1週間の入院か3日の外泊の後
先の見えない入院

確かにいま外泊しても
楽しめないし仕事も行けない

どうしたらいいかわからず
1人になったタイミングで涙が止まらなくなった

私がももかの家に言ってる間に隣のベッドに
新しい人が入院したっぽくて
迷惑ならないように声を押し殺して泣いた

「あまり泣くな、発作起きるぞ」

いつのまにか愁くんがいた

そんなこと言われても
すぐに涙なんか止まらない


「このまま泣き続けると本当にしんどくなって
もし一度帰る選択をしたとしても帰れなくなる。
わかったから泣き止んで」

わかったって何がわかったの
私の何がわかってるの

それからは何も言わずわたしの横に座って
背中をさすってくれて少し落ち着いた
気づいたら白衣を脱いでいた

「きり、ちょっとゼィゼィ酷い...
もくもくのお薬持ってくるから待ってて
すぐ戻ってくる。」

泣きすぎて確かに呼吸がしずらい
本当にすぐ愁くんは戻ってきてくれて
いつもの吸入器を渡してくれた

薬を吸ったらマシになった

知らない間に左手の人差し指に機械がついていた
体内の酸素の量を測る機械

「落ち着いたか?」

「...うん」

「きりは今身体の中の酸素が90%をきっている
健康な人は98〜100%なんだけど...
苦しいでしょ?」

「苦しくない」

「今は医者としてではなくて幼馴染として
俺を見て欲しい、ほらみて、白衣きてない
痛いこと苦しいこと何もしないし
シンプルに心配してるから本当のこと教えて」

確かに声もいつもの愁くんのやさしい声

「苦しいかどうかもわからない」

「そっか」

愁くんは何も言わず機械をとった

「マスクつけて少し酸素入れさせて」

「やだ」

「お願い」

「いま幼馴染の愁くんでしょ」

「白衣きたら酸素つけるのか?」

「嫌だ」

「ははっ
じゃあ別に一緒じゃねーか」

愁くんが笑って白衣を着て部屋を出て行った

そしてすぐ酸素をもって戻ってきた

「まぁ痛くもねぇし酸素だけ取り入れてゆっくりしてて」

「嫌だ。話しにくいし暑い」

「じゃあ鼻から入れる?」

鼻にカテーテルいれる酸素は恥ずかしい...
まだ口のマスクの方がいい

「...」

「鼻からだと話せるし暑くもないしいいと思うんだけど」

「嫌だ」

「どっち?」

「...」

あああ
白衣着てるし医者の愁くんだ
なにも譲ってくれない

「ちょっとだけだから。
酸素が戻ったら終わり」

「...わかった」

渋々、承諾したらすぐに
口にマスクをつけられて
酸素が出てきた

呼吸しやすいかも

たくさん息を吸って吸って
落ち着いた

...プルルル

愁くんの院内携帯がなった

「はい、高橋です。
わかりました、確認します」

電話を切った

「仕事?」

「ちょっと確認だけしてくるから
俺が戻ってくるまで酸素マスクは外さないで。
なんかあったらコール押して、いい?」

「...うん」

愁くんが走って部屋を出ていった
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