このたび、夫婦になりました。ただし、お仕事として!
櫂はすぐに迫ってきたりはしなかったけれど、先ほどの宣言どおりに普段よりちょっと強引で男らしい顔を見せる。咲穂を見つめる瞳に劣情がにじんでいるように見えるのは、気のせいだろうか。
「そうだ、櫂さん。これ」
咲穂はかたわらに置いてあった自身のハンドバッグから、先ほど買ったプチギフトを取り出す。
「洋服のお礼です。えっと、本当にたいしたものじゃなくて恥ずかしいんですけど」
「……いつの間に」
中身を気に入ってくれるかは別として、サプライズは成功したようだ。彼はうれしそうにほほ笑んでくれる。
「開けてもいいか?」
「もちろん」
咲穂が選んだ品はシンプルな革のブックカバーと栞のセット。仕事関連の本はもちろんのこと彼はミステリー小説が好きなようで、時間を見つけて楽しんでいるのは知っていた。
「ありがとう、大事にする」
咲穂がはにかむように笑うと、彼もジャケットの内ポケットからなにかを取り出した。
「俺も。さっき、咲穂に似合いそうなものを見つけたから」
ネイビーの包装紙に包まれた小さな品物を彼は咲穂に手渡す。
「……お礼にお返しをもらったら意味がなくなってしまいますよ」
そう言ったけれど、彼の気持ちが嬉しくて思いきりにやけてしまう。自分がブックカバーを買っている間に、彼はこれを選んでいてくれたのだろうか。気持ちが通じ合ったような気がして、心がソワソワと浮き立つ。
「わぁ!」
包みを開けた咲穂は、喜びの声をあげる。リボンの形のバレッタだった。黒と白のギンガムチェック柄で、リボンの結び目部分は黒いベロア生地。かわいらしいけれど、子どもっぽさはなくてとても素敵だ。
「そうだ、櫂さん。これ」
咲穂はかたわらに置いてあった自身のハンドバッグから、先ほど買ったプチギフトを取り出す。
「洋服のお礼です。えっと、本当にたいしたものじゃなくて恥ずかしいんですけど」
「……いつの間に」
中身を気に入ってくれるかは別として、サプライズは成功したようだ。彼はうれしそうにほほ笑んでくれる。
「開けてもいいか?」
「もちろん」
咲穂が選んだ品はシンプルな革のブックカバーと栞のセット。仕事関連の本はもちろんのこと彼はミステリー小説が好きなようで、時間を見つけて楽しんでいるのは知っていた。
「ありがとう、大事にする」
咲穂がはにかむように笑うと、彼もジャケットの内ポケットからなにかを取り出した。
「俺も。さっき、咲穂に似合いそうなものを見つけたから」
ネイビーの包装紙に包まれた小さな品物を彼は咲穂に手渡す。
「……お礼にお返しをもらったら意味がなくなってしまいますよ」
そう言ったけれど、彼の気持ちが嬉しくて思いきりにやけてしまう。自分がブックカバーを買っている間に、彼はこれを選んでいてくれたのだろうか。気持ちが通じ合ったような気がして、心がソワソワと浮き立つ。
「わぁ!」
包みを開けた咲穂は、喜びの声をあげる。リボンの形のバレッタだった。黒と白のギンガムチェック柄で、リボンの結び目部分は黒いベロア生地。かわいらしいけれど、子どもっぽさはなくてとても素敵だ。