冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
五章 誰にも譲れない
五章 誰にも譲れない
『その、櫂さんと初めてキスしたとき……苺チョコの香りがしたなって』
その台詞を咲穂が口にしたとき、櫂は自分の理性の糸がプツンと切れる音を聞いた。
(だって、かわいすぎるだろう。なんなんだ、あの生きものは?)
こんなにも愛おしいと思える相手に出会えるとは、ほんの数か月前までは思ってもいなかった。恋愛感情は自分には理解不能なものだと諦めていたくらいなのに。
あの夜、咲穂のこぼす甘い吐息に煽られて櫂はどんどん狂暴になっていった。
わざとそういう空気をつくって、丸め込んで、どんな手を使ってでも咲穂を自分のものにしてしまおうとした。
(思考回路が完全に犯罪者のソレじゃないか)
執務室のデスクに肘をつき、組んだ両手の上に額をのせて櫂は苦笑を漏らす。
いや、そもそも一昨日のデート。自分は最初から卑怯な打算をしていた気がする。映画館でカップルシートを選んだのも、咲穂に意識させたかったからだ。
自分たちが普通の恋愛を経ているわけじゃないから、焦らず彼女の気持ちが育つのを待とう。そう思っていたはずなのに、いつの間にか……キスより先に進みたくて、彼女のすべてが欲しくて、どうにもならなくなっていた。
『その、櫂さんと初めてキスしたとき……苺チョコの香りがしたなって』
その台詞を咲穂が口にしたとき、櫂は自分の理性の糸がプツンと切れる音を聞いた。
(だって、かわいすぎるだろう。なんなんだ、あの生きものは?)
こんなにも愛おしいと思える相手に出会えるとは、ほんの数か月前までは思ってもいなかった。恋愛感情は自分には理解不能なものだと諦めていたくらいなのに。
あの夜、咲穂のこぼす甘い吐息に煽られて櫂はどんどん狂暴になっていった。
わざとそういう空気をつくって、丸め込んで、どんな手を使ってでも咲穂を自分のものにしてしまおうとした。
(思考回路が完全に犯罪者のソレじゃないか)
執務室のデスクに肘をつき、組んだ両手の上に額をのせて櫂は苦笑を漏らす。
いや、そもそも一昨日のデート。自分は最初から卑怯な打算をしていた気がする。映画館でカップルシートを選んだのも、咲穂に意識させたかったからだ。
自分たちが普通の恋愛を経ているわけじゃないから、焦らず彼女の気持ちが育つのを待とう。そう思っていたはずなのに、いつの間にか……キスより先に進みたくて、彼女のすべてが欲しくて、どうにもならなくなっていた。