冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
それから咲穂の言葉。
『あの、櫂さん。七森さんのことで、ちょっとお伝えしたいことが……』
あの台詞を聞いたのは、咲穂と悠哉がこの話をしていた夜のこと。櫂は最悪の告白、つまり咲穂が悠哉を好きになった……という可能性を考えたがそうではなく、この件を伝えようとしていたのかもしれない。つまり、悠哉の秘密がバレてしまったことを。
頭を整理するために悠哉からもう少し詳しい話を聞きたい気持ちもあったが、彼は待ってくれなかった。静かに、だがはっきりと悠哉は告げる。
「僕は咲穂ちゃんが好きだよ」
櫂はなにも言葉を発することができずに、ただ彼の言葉を聞いていた。
「一緒に仕事をしていると、すごく楽しくてワクワクする。彼女の笑顔をずっと隣で見ていたい。そんな気持ちにさせられた」
その思いは自分もまったく同じで、だからこそ悠哉の本気が痛いほどに理解できた。
「櫂の奥さんだってわかってるけど、それでも……好きになってしまったんだ」
悠哉はまっすぐにこちらを見て、続ける。
「別に僕は、君たちの結婚のきっかけに文句をつけるつもりはない。見合いとか政略結婚とか、愛のないところから始まる夫婦なんていくらでもいると思うし。ただ……」
そこで彼は珍しく厳しい表情をしてみせた。櫂への怒りが、はっきりと浮かんでいる。
「そういう始まりならなおのこと、咲穂ちゃんに不安を抱かせないよう言葉でも行動でも示さないといけないんじゃない?」
悠哉の正論が心に痛い。
(悠哉の言うとおりだ。継母をどうにかすることより、キスより先を望む前に、咲穂に伝えなければいけない言葉があったのに)
『あの、櫂さん。七森さんのことで、ちょっとお伝えしたいことが……』
あの台詞を聞いたのは、咲穂と悠哉がこの話をしていた夜のこと。櫂は最悪の告白、つまり咲穂が悠哉を好きになった……という可能性を考えたがそうではなく、この件を伝えようとしていたのかもしれない。つまり、悠哉の秘密がバレてしまったことを。
頭を整理するために悠哉からもう少し詳しい話を聞きたい気持ちもあったが、彼は待ってくれなかった。静かに、だがはっきりと悠哉は告げる。
「僕は咲穂ちゃんが好きだよ」
櫂はなにも言葉を発することができずに、ただ彼の言葉を聞いていた。
「一緒に仕事をしていると、すごく楽しくてワクワクする。彼女の笑顔をずっと隣で見ていたい。そんな気持ちにさせられた」
その思いは自分もまったく同じで、だからこそ悠哉の本気が痛いほどに理解できた。
「櫂の奥さんだってわかってるけど、それでも……好きになってしまったんだ」
悠哉はまっすぐにこちらを見て、続ける。
「別に僕は、君たちの結婚のきっかけに文句をつけるつもりはない。見合いとか政略結婚とか、愛のないところから始まる夫婦なんていくらでもいると思うし。ただ……」
そこで彼は珍しく厳しい表情をしてみせた。櫂への怒りが、はっきりと浮かんでいる。
「そういう始まりならなおのこと、咲穂ちゃんに不安を抱かせないよう言葉でも行動でも示さないといけないんじゃない?」
悠哉の正論が心に痛い。
(悠哉の言うとおりだ。継母をどうにかすることより、キスより先を望む前に、咲穂に伝えなければいけない言葉があったのに)