冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
『ううん、出水さんのせいじゃないのはみんなわかってるわよ。美津谷CEOも記事にあるような事実はないとはっきり否定しているしね。ただ……今日のパーティーはCEOにも欠席してもらって、無難に終えようっていう方向で話が進んでいて』
「わかりました。自宅でできる仕事があれば、どんどん回してください。そのくらいしか貢献できないので」
そんなふうに伝えて、咲穂は彼女との通話を終えた。「ふぅ」と細く息を吐いて、顔を天井に向ける。涙がこぼれてこないようにだ。
(さすがに落ち込むなぁ)
櫂との関係も仕事もボロボロ、まさにドン底だ。
彼とはこのところ、まともに話ができていない。週刊誌の対応に追われているのだろうと想像はつくが、実は気まずくなったのはそれより前からだ。
櫂が元許婚の女性と会っていたらしい、あの日の夜。
『悪いが、仕事で考えなければならないことがあって……またの機会にしてくれ』
硬い声でそう言って、彼は咲穂を避けるように背を向けた。
あの瞬間、目の前が真っ暗になり、急に世界が閉ざされてしまったような気になった。
住む世界が違いすぎる、ハッピーエンドはありえない。そんなふうに予防線を張っていたくせに、やっぱりどこかで期待していたのだろう。現実に現れた櫂の思い人らしき女性の存在に、咲穂は滑稽なほど動揺した。
彼女と再会して、櫂は自分の本心に気づいたのだろうか。
(私ではダメだと痛感した? だから、顔を見てもくれなかったのかな。もしかしたら一緒に暮らすことすらも嫌になった?)
「わかりました。自宅でできる仕事があれば、どんどん回してください。そのくらいしか貢献できないので」
そんなふうに伝えて、咲穂は彼女との通話を終えた。「ふぅ」と細く息を吐いて、顔を天井に向ける。涙がこぼれてこないようにだ。
(さすがに落ち込むなぁ)
櫂との関係も仕事もボロボロ、まさにドン底だ。
彼とはこのところ、まともに話ができていない。週刊誌の対応に追われているのだろうと想像はつくが、実は気まずくなったのはそれより前からだ。
櫂が元許婚の女性と会っていたらしい、あの日の夜。
『悪いが、仕事で考えなければならないことがあって……またの機会にしてくれ』
硬い声でそう言って、彼は咲穂を避けるように背を向けた。
あの瞬間、目の前が真っ暗になり、急に世界が閉ざされてしまったような気になった。
住む世界が違いすぎる、ハッピーエンドはありえない。そんなふうに予防線を張っていたくせに、やっぱりどこかで期待していたのだろう。現実に現れた櫂の思い人らしき女性の存在に、咲穂は滑稽なほど動揺した。
彼女と再会して、櫂は自分の本心に気づいたのだろうか。
(私ではダメだと痛感した? だから、顔を見てもくれなかったのかな。もしかしたら一緒に暮らすことすらも嫌になった?)