冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
「咲穂さん。櫂を、どうかよろしくお願いします」
「は、はい! こちらこそ」
数日後。咲穂と櫂は、潤を見送るために成田空港国際線のターミナルにいた。チェックイン手続きを終えた潤がふたりのもとに戻ってくる。
「荷物、見ててくれてありがと」
言って、櫂の足元にあった大きなスーツケースを潤が持ちあげる。
「じゃ、そろそろ行くわ」
口調は軽いけれど、心なしか緊張した顔をしている。
「あぁ。後悔しないよう、やりたいことをやってこいよ」
「がんばってきてください」
櫂と咲穂はそれぞれの言葉で、潤を激励する。
「大丈夫よ~。私がついてるし」
潤の隣でほほ笑むのは、櫂の元許婚の翠だ。咲穂は今日が初対面。
「じゃあ行こうか、潤くん」
「あれ? 翠さん、俺の名前覚えてくれたの? 人の顔と名前をまったく覚えない人だって、兄貴から聞いてたけど」
「あぁ、潤くんは絵を見せてくれたから。私の脳は絵を先に認識して、それに紐づけて人を記憶する仕組みなのよ」
けろりと、まるでそれが当然であるかのように翠は答える。
「だから、絵を描かない人の顔と名前はなかなか覚えられなくて!」
(すっごく綺麗な人だけど……あのインタビュー記事の印象とはだいぶ違うかも)
ネットで見かけた彼女は大和撫子そのものだったけれど、実際に目の前にした翠はむしろその真逆をいくキャラクターの女性だった。
(実物の翠さんのほうが素敵だな)
咲穂はすぐに彼女を好きになったし、翠のほうも咲穂を気に入ってくれたようだ。キラキラした笑顔を向けてくれる。
「は、はい! こちらこそ」
数日後。咲穂と櫂は、潤を見送るために成田空港国際線のターミナルにいた。チェックイン手続きを終えた潤がふたりのもとに戻ってくる。
「荷物、見ててくれてありがと」
言って、櫂の足元にあった大きなスーツケースを潤が持ちあげる。
「じゃ、そろそろ行くわ」
口調は軽いけれど、心なしか緊張した顔をしている。
「あぁ。後悔しないよう、やりたいことをやってこいよ」
「がんばってきてください」
櫂と咲穂はそれぞれの言葉で、潤を激励する。
「大丈夫よ~。私がついてるし」
潤の隣でほほ笑むのは、櫂の元許婚の翠だ。咲穂は今日が初対面。
「じゃあ行こうか、潤くん」
「あれ? 翠さん、俺の名前覚えてくれたの? 人の顔と名前をまったく覚えない人だって、兄貴から聞いてたけど」
「あぁ、潤くんは絵を見せてくれたから。私の脳は絵を先に認識して、それに紐づけて人を記憶する仕組みなのよ」
けろりと、まるでそれが当然であるかのように翠は答える。
「だから、絵を描かない人の顔と名前はなかなか覚えられなくて!」
(すっごく綺麗な人だけど……あのインタビュー記事の印象とはだいぶ違うかも)
ネットで見かけた彼女は大和撫子そのものだったけれど、実際に目の前にした翠はむしろその真逆をいくキャラクターの女性だった。
(実物の翠さんのほうが素敵だな)
咲穂はすぐに彼女を好きになったし、翠のほうも咲穂を気に入ってくれたようだ。キラキラした笑顔を向けてくれる。