冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
今夜、この場に集まっているのはリベタスプロジェクトのメンバーたち。
週刊誌で騒がせることをわびると際に、櫂は咲穂との婚約をみんなに発表した。
『出会った瞬間に、彼女しかいないと確信したんだ』
電撃結婚の理由を、彼はそのひと言で押し通した。
(どう考えても無理があるよね、その理由)
咲穂はそう思ったが、セレブの考えることは庶民には理解できないものだと、なぜかみんな納得してしまった。社内はお祭り騒ぎになり……こうして婚約祝いの飲み会まで開かれることになったのだ。
「プロジェクトの決起集会もかねて、盛大にやりましょ」と、理沙子が張りきって準備をしてくれていた。
貸し切りにしたこの個室もかわいらしく飾りつけられ、咲穂の視線の先にはアルファベットの文字が並ぶガーランドが垂れていた。
(ハッピーウェディング櫂&咲穂、かぁ)
もちろん、こうしてみんなに祝福してもらえることはありがたいと感じている。
白状すると、社内の女性たちから反感を買ってしまうのでは?と心配していたから。だが、そういう反応はほとんどなかった。むしろ……。
『私たちの美津谷CEOがどこぞの海外セレブに奪われなくて、よかった~。出水さん、お手柄ね』
そんな調子で拍手喝采を受けた。みんな、櫂はハリウッド女優やパリコレモデルと結婚するものと想像していたらしい。それと比べれば、同じ日本人かつ一般女性である咲穂との結婚は喜ばしいという心理のようだ。