冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
悠哉に嘘をついていることに若干の申し訳なさを感じながら、咲穂はうなずいた。このあと、悠哉はまだ撮影が残っているそうなので咲穂は礼を言って荷物をまとめはじめる。
「じゃあ、蓮見リョウと冬那の撮影も楽しみにしてるね」
「こちらこそ! 七森さんの神メイク、楽しみです」
ぺこりと頭をさげて、咲穂はドアノブに手をかける。ところが、回しかけた手を悠哉が阻む。
「七森さん?」
「最後にひとつだけ」
彼の形のよい唇がうっすらと弧を描く。
「僕はすごくお世辞が下手なんだ。リベタスのモデルには咲穂ちゃんが一番と言ったのも、君の才能についても、ぜんぶ本心だよ。それは信じて」
咲穂がリップサービスだろうと受け流したのを、彼は気づいていたらしい。本音で褒めてくれた相手に対して失礼な態度をとった。そう悟った咲穂は真摯に謝罪をする。
「すみませんでした。あらためて、ありがとうございます! そう言ってくださるなら、堂々と自惚れちゃおうと思います」
「うん、それじゃ気をつけてね」
悠哉がドアを開けてくれる。一歩踏み出してから、咲穂はくるりと彼を振り返る。
「そうだ。私もひとつだけ」
キョトンとしている悠哉に、先ほどのみ込んだ言葉を伝える。
「七森さん、櫂さんに出会わなければ……と言ったけどそれはきっと違うと思います」
彼にとって櫂が恩人であることはきっと事実で、その思いを否定したいわけではないけれど……。
「じゃあ、蓮見リョウと冬那の撮影も楽しみにしてるね」
「こちらこそ! 七森さんの神メイク、楽しみです」
ぺこりと頭をさげて、咲穂はドアノブに手をかける。ところが、回しかけた手を悠哉が阻む。
「七森さん?」
「最後にひとつだけ」
彼の形のよい唇がうっすらと弧を描く。
「僕はすごくお世辞が下手なんだ。リベタスのモデルには咲穂ちゃんが一番と言ったのも、君の才能についても、ぜんぶ本心だよ。それは信じて」
咲穂がリップサービスだろうと受け流したのを、彼は気づいていたらしい。本音で褒めてくれた相手に対して失礼な態度をとった。そう悟った咲穂は真摯に謝罪をする。
「すみませんでした。あらためて、ありがとうございます! そう言ってくださるなら、堂々と自惚れちゃおうと思います」
「うん、それじゃ気をつけてね」
悠哉がドアを開けてくれる。一歩踏み出してから、咲穂はくるりと彼を振り返る。
「そうだ。私もひとつだけ」
キョトンとしている悠哉に、先ほどのみ込んだ言葉を伝える。
「七森さん、櫂さんに出会わなければ……と言ったけどそれはきっと違うと思います」
彼にとって櫂が恩人であることはきっと事実で、その思いを否定したいわけではないけれど……。