第一幕、御三家の桜姫
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「……あれ? 桐椰くんのお兄さんっていくつ離れてるの?」
「三つ上だ」
「あぁー」
なるほど。もし二つ上なら透冶くんの事件が起こった時に松隆くんのお兄さんは花高在籍中だったけど、三つ上なら卒業後だ。
「桐椰くんのお兄さんは花高じゃないんだっけ?」
「あぁ。だから文化祭来たいんだとさ。アイツ女好きだからなあ……」
半ば辟易しているかのような表情で桐椰くんは呟いた。
「そうなの?」
「遼、それは言い方が悪い。別に彼方兄さんは大体の女子が可愛く見えるだけで無差別に手を出すわけじゃない。おそらく桜坂さん相手でも可愛いとは心から言うだろうが、だからどうというわけではない」
「ねぇ何で私への悪口入れたの? 月影くんのそういうところ良くないと思うよ!」
「似たようなもんだろ……アイツ無駄に女受けいいから女子も本気にするし……」
「天然たらしみたいな感じなんだね! 遼くんも見習えば少しはモテるんじゃないかな!」
「お前も何で今俺への悪口を挟んだ? あ?」
再び頬を抓られながら、ふむふむと頷く。桐椰くんのお兄さんか。いい人そうだけど、私には関係なさそうだ。
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