第一幕、御三家の桜姫
「……これ、毎月見てるの?」
「そうだよ」
「……なんの意味あるの?」
「さぁ」
教えてくれる気がないのか、松隆くん達自身、この意義を見つけられていないのか。
「……一応聞くけど、いつから見てるの?」
「……二月からだ」
桐椰くんが静かに答えた。じゃあまだ三ヶ月分くらいか……。
「生徒会への反抗って、これ? 不正があるはずだって言っても、不正のあたりがついてなきゃ何を確認すればいいのかも分かんないじゃん? 調べ始めたっていう二月に何があったの?」
ごく自然な疑問が口をついて出ただけなのだけれど──空気が凍った。
……あれ。何か変なこと言ったかな。思わず口を噤んで、三人が口を開くのをじっと待つ。月影くんはともかく、桐椰くんと松隆くんでさえ、無表情になっていた。
「……まだ話してなかったよな。俺達が生徒会に歯向かう理由」
「……お金の権力を振りかざしててうざいから、でしょ……」
「それはあくまで建前だ。本当の理由はそうではない」
バンッ、と勢いよく閉じられたドッジファイルが大きな音を立てた。驚いて肩を震わせてしまい、次いで、暗い目をした松隆くんにもう一度肩を震わせてしまう。
「俺達は、生徒会役員が死んだ事件の真相を探ってるんだ」
そのセリフに、私の身体が静止したのが分かった。
生徒会役員が、死んだ?
やっぱり、この間の桐椰くんの発言は比喩じゃなかった。でも……それでも、人が一人死んでるなんて。なにをどう反応すればいいのか分からなくなった。
「死んだ……、って……、一体誰が……」
「事件が起こったのは、去年から今年にかけての冬休み。報道はされてないが、ここが成金学校だということを考えると特に不自然ではない」
「そもそも、この事件の存在を知ってる生徒が少ないんだよ。事件が起こったのは冬休みの朝だったから、部活動があるとしても、登校してた生徒なんてたかが知れてた」
「他のヤツらには、冬休み中に転校したって説明がされてる。だから、事件を知っているのは生徒会役員と、幼馴染の俺達だけだ」
まさしく、幼馴染だからこそ、ぴたりと息の合った説明だった。