御三家の桜姫



「ちょ、ちょっと待ってよ桐椰く――」

「俺とコイツ、付き合ってるから。二人でカップルコンテスト出るからよろしく」


 よろしくって何が!? 顔でも口でも抗議したかったけれど、私に余計なことを言われないためか、肩が割れるんじゃないかと思うほど強い力で胸板に押し付けられた。抗議ができないどころか鼻が潰れる! もがく私の体を腕ごと捕まえながら、桐椰くんが教室を見回す気配がした。


「ついでに、カップルコンテスト、生徒会の蝶乃と鹿島も出るから。生徒会を潰すために、手始めにアイツらを負かす」


 マジ……? なんて声が聞こえた。そりゃそうだよね、急にそんな宣言されたら唖然とするよね!

「えー、そうなんだー。じゃあ桐椰くんと桜坂さんが優勝したら、生徒会潰れちゃうのー?」

「優勝したからってすぐに潰れやしねぇよ。潰す足掛かりにするって言ってんだ」

「そっかー」


 いやいやいや「そっかー」じゃないよ稲森さん! 稲森さん、希望役員なんだから! もっと反抗しようよ!

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