ゆれて、ふれて、甘言を弄して
窓際の席に座っていた男どもが、「梨添さん、なんか奢って」と言いに行く。
「派遣の給料舐めないで。」
「じゃあ今度の飲み会来てよー。」
「だから奢れないってば。」
「奢らなくていいから来てよ。」
「やだよめんどい。」
「金本さん連れて来てよ。」
「でたよ本音。」
笑いながら答える梨添さん。
笑いながら懲りずに誘うハイエナたち。
一見どちらも本気のホの字もないコミュニケーションに見えるし、梨添さんも自分がからかわれていると思い込んでいるのだろう。
でも梨添さん、今時の大学生をみくびらないで欲しい。
"金本さん"をあえて出すことにより、飲み会に来てもらいやすい雰囲気をつくる男の能力を。
しかも本命が、あたかも金本さんであるような言い方をして、梨添さんをあくまで付き添いであるように誘うことで、梨添さんのガードを少しでもゆるくしようという作戦を。
10歳差でも学生にとったら全然イケるお姉様なんだから。お姉様に手ほどきされる学生の妄想を舐めないでください。梨添さんはもう少し自覚すべきではあると思う。