ゆれて、ふれて、甘言を弄して
でも、"愚者は経験に学ぶ"。
ある時、その私でいるのが急に馬鹿らしくなった。
「息抜きをしていたいだけ」だなんて、よくもまあカッコつけられたもんだ。
こうやって金本さんたちから逃げる理論を並べていくだけで、自分の本音はみえてくる。
私はただ恋愛から逃げているだけ。
だってめんどくさいから。
女ってめんどくさい。男ってめんどくさい。
その先にある結婚を考えるのもめんどくさいし、紐付けるように出産のことをとやかく言われるのもめんどくさい。
1階で消耗品の文具を買いそろえて、階段を上がって行く途中、髪を不必要に触る何人かの女の子たちとすれ違った。
「法学の男に飲み会誘われてさー」
「めっちゃ吉日じゃん」
「でも幹事が元カレの友達なんだよねー」
「えー…ってそれ知ってて誘われたんじゃん?」
「やっぱ?元カレも来たらどうせいっちゅうねん」
「より戻す?その可能性は?」
「Zero~♪」
大学にいる女の子たちの会話の約7割は恋愛話で咲き乱れている。
いいよね、人生にさほど影響がないと思っている時期の恋愛ってさ。結婚よりも結婚式にあこがれを抱いている時期の恋愛ってさ。
でも残念、この学び舎の何分の一かは私みたいにな女になるのよ。今に見てろ。この先に待つのは苦労だけ!
おっと、雑用の疲れから妬みの暴利が顔を出す時間。今にも腕時計が直角の15時を刻みそうだ。