ゆれて、ふれて、甘言を弄して
そんなことはどうでもよくって、隣を見れば榎戸さんののど仏がいい感じに隆起しているのが目についた。
不死原君のとは違って、褐色のある体育会系のは見た目から固そうだな、と思った。勝手に体育会系認定してるけど。
3階につくと、5階の教授室に用があると言っていた男2人が、なぜか一緒に3階で降りた。
エレベーターは乗り換えありませんよ?
「お詫びに俺たちも、資料準備するの手伝います。」
「え?!…でも···、」
榎戸さんの言葉に、金本さんが、『そんなぁ、悪いですぅ』とでも言いたげな雰囲気を出しながら、でも実際それを言わないという能力を発動した。高度過ぎてとても参考にならない。
「いいです。風見のミスは、俺のミスでもあるから。」
「ふはっ」
「え、何か面白いこと言いましたか、俺。」
「はい、言いました。」
「…どこですか?どの部分?」
「内線の時とのギャップが、すごいから…。」
私が榎戸さんと話している間にも、めんどくさそうに資料の乗った台車を引いてくれた風見さん。
そして私がお礼を言おうか言うまいか考えている間にもお礼を伝えた金本さん。
2人が前を歩いて行く。
金本さんは風見さん狙いだよねきっと。
ただその背中を見てもお似合いかどうかはわからない。
私的にはこの2人の身長差よりも、背の高い榎戸さんと私よりも低い金本さんの身長差がツボだったりするんだけど。