ゆれて、ふれて、甘言を弄して

私はその頃、親にうるさく言われてきた甲斐あってか、業界では上位クラスの紡績会社に就職していて、総務事務をしていた。


残業は毎日のようにあっても、他の会社に勤める友達よりも手当がよく、いいOL時代を歩んでいたと思う。


彼とはなんとなく付き合い始め、2年経った頃、彼の転勤と共にプロポーズされたのが私の第一分岐点だった。


県外への転勤のため、当然私は自分の仕事を辞めなければならない。会社では上手くやれていたし、そこが私の居場所のようにもなっていたから、心苦しい決断だった。


結局親にも、こんなにいい物件はないと言われ、仕事を辞めて彼について行くことにしたのだ。


親から離れられるちょうどいい機会だと自分に言い聞かせて、無理やり自分を納得させた。


それが26歳。"NOと言えない日本人"の私。



でも、専業主婦ってのは余計なものばかりが目につく。



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