ゆれて、ふれて、甘言を弄して
もう男の人とそういう関係になる未来はいらないと思っていた。
中絶してしまった子のことを思うと、もう自分に恋愛をする資格はないと、ずっと恋愛を遠ざけてきたつもりだった。
親や旦那に言われるままに過ごしてきた私は、それまでのりいほでいては駄目な気がした。
とにかく清楚な雰囲気を取り除きたかった。真面目に見える見た目を変えたかった。
でもね、私の内情を知らなかったとしても、こんな惨めな私に踏み込んできてくれたことが、とってもとっても嬉しかったんだよ。
不死原君。
いつもの駅までの帰り道が分からなくなって、迷子になった。
どれだけ歩いて帰路を外れていたのだろう。
後ろを向いても、誰も追いかけてはきてくれていない。
『あすなろ抱き』というドラマの世界は異世界なのか。
でもその20秒後、どこからか犬が吠える声が聞こえて冷静になれた。
いや、さっきのは追いかけてくるとかそういう場面でもない気もする。
ただのドン引き暴露大会なのだから。
今年のクリスマスイヴもクリスマスも寂しくなりそうだ。