ゆれて、ふれて、甘言を弄して

今日も汚れを知らない白いシャツが、私にはやっぱり眩しく思えて。


流れる時間の力って本当に強大だと思う。暴露大会やキスだけじゃなく、ピアノレッスンのことすらも夢のことのよう思える。


私たちはもう、ただの同じ地球上に住む同棲者になっている。



対面で座れば、すぐに彼の指が目についた。

少しだけ乾燥して、白っぽくなっている。



「梨添さん、俺、分かりません。」

「……え?」

「俺はまだ学生だからよく分からないんですよ。」

「…なにが?」

「"ばちゅいち"の気持ちです。」

「やめて。もうそれぶり返さないで。」

「一生俺の心には刻まれますよ。ばちゅいち。」

「ちょ、…不死(笑)くんっ…」


もう忘れかけていたそれが急に出てくるもんだから、ほどよい緊張感が冷めちゃったじゃん。


「しかも。ようやく来たと思ったメールが、いかにも社交辞令で。」

「…そ、そうだっけ。社交辞令に、感じた?あのメール?」

「そうですね。」


あのメールとは、『金曜日は逃げてしまってごめんなさい。でも楽しかったです。』のあれだ。

私なりに、キスも含めて楽しかったと伝えたつもりだし。でも結局びびって『大好き』まで伝えられなかったという、あれ。





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