リライト・ザ・ブルー
「でも、些細なことで割り切れるようになるかな。さっきも言ったけど、あのときの自分なりに必死だったなとか、別に悪いことばっかじゃなかったなとか。そうやって考えなおして、前に進んで行くんだろうね」
来年には、付き合えるよ。卒業式になったら告白するよ。たった一週間にも満たないけれど、あの数日間を忘れないよ。
「……大丈夫だよ」
そう告げたかったけれどできなかったから、代わりに、一年後の昴夜に伝えることにした。もしかしたら、私と侑生を残していなくなった昴夜は、あの夜のことを後悔しているかもしれないから。ただでさえ、新庄を殺したというのは勘違いだったのだから。
「昴夜のいうとおり、自分なりに必死に、誰かを守りたかったんだから。そこに間違いなんてない、だから後悔しなくていい。誰に罪悪感を覚えるもない、何に囚われるでもなく――誰とでもいい、幸せになっていいはずだよ」
さよならも言わずに私と別れることになったと、いつまでも自分を責めないでいい。
さすがに突飛だったのか、昴夜はまた少し黙った。
ややあって「なにそれ」と笑い出す。
「なんか俺、物語のヒーローみたいじゃない?」
「どっちかいうとヒロインじゃない?」
「百歩譲って可愛いは喜べるけど、ヒロインみたいは喜べない。ヒーローって言って」
「はいはい」
実際、昴夜は、私のヒーローだった。
でもやっぱりそれは言えないから、笑って誤魔化した。