リライト・ザ・ブルー
二度目の高校二年生が始まって、二週間弱が経った。
さすがに母校への道のりは忘れておらず苦労はなかったけれど、二年生の下駄箱はどこだっただろうか。同じ二年生の後についていこうと、周囲を見回していたとき。
「おはよ」
後ろから侑生の声がした。
「え、わ、侑生か、おはよ」
「……なにしてんの」
「……夏休みボケを少々」
「……大丈夫か?」
さり気なく侑生について行く。でも、私に向けられる目は、相変わらず困惑通り越して心配していた。
「この間も話したけど、一回病院でも行ったほうがいんじゃね」
「いや、本当に大丈夫。あのときは……、変な夢を見てると勘違いしてて」
「それが病院案件だろ」
「夏の間に頑張ろうとし過ぎて疲れてたんだと思う、ね。あの後休んですっかりよくなったから」
苦しい言い訳だったけれど、そこまで言えばそれ以上畳みかけられることはなかった。
「……そう」
その矢先、下駄箱の前で困ったことに気が付く――出席番号が分からないのだ。
「……次は出席番号でも忘れたの」
当然といえば当然だ。中一のクラスすら思い出せなくなってきているのに、そんな毎年変わるものを覚えているはずがない。
「……大丈夫、課題ノートに書いてあるから」
「大丈夫じゃなくね」
まったくもって盲点だった。慌ててカバンの中を探していると「三十番、俺の六つ後」と助け船が出された。
「あ、ありがと。他人の出席番号なんてよく覚えてるね」
「一年の最初、隣の席だったろ」
入学式の日の教室は五十音順で、ヒバリとミクニは隣同士だった。
懐かしい。いまより更に一年以上前。あの頃は、昴夜を好きになることはもちろん、侑生と付き合うことなんて想像もしていなかった。
「……本当に大丈夫?」
そうして少し頬を緩めながら上履きに履き替える私は、少し不気味に映ったのだろう。
「大丈夫大丈夫。本当になんともないよ」
「…………」
「そういえば、誕生日に欲しいものって決まった?」
侑生の誕生日は九月二十日。ちなみにそれは、昴夜の誕生日でもあった。
「……考えとくけど、好きにしてくれていいよ」
この頃の私と侑生は、どんな関係だっただろう。さすがにそこまで細かいことは覚えていない。
さすがに母校への道のりは忘れておらず苦労はなかったけれど、二年生の下駄箱はどこだっただろうか。同じ二年生の後についていこうと、周囲を見回していたとき。
「おはよ」
後ろから侑生の声がした。
「え、わ、侑生か、おはよ」
「……なにしてんの」
「……夏休みボケを少々」
「……大丈夫か?」
さり気なく侑生について行く。でも、私に向けられる目は、相変わらず困惑通り越して心配していた。
「この間も話したけど、一回病院でも行ったほうがいんじゃね」
「いや、本当に大丈夫。あのときは……、変な夢を見てると勘違いしてて」
「それが病院案件だろ」
「夏の間に頑張ろうとし過ぎて疲れてたんだと思う、ね。あの後休んですっかりよくなったから」
苦しい言い訳だったけれど、そこまで言えばそれ以上畳みかけられることはなかった。
「……そう」
その矢先、下駄箱の前で困ったことに気が付く――出席番号が分からないのだ。
「……次は出席番号でも忘れたの」
当然といえば当然だ。中一のクラスすら思い出せなくなってきているのに、そんな毎年変わるものを覚えているはずがない。
「……大丈夫、課題ノートに書いてあるから」
「大丈夫じゃなくね」
まったくもって盲点だった。慌ててカバンの中を探していると「三十番、俺の六つ後」と助け船が出された。
「あ、ありがと。他人の出席番号なんてよく覚えてるね」
「一年の最初、隣の席だったろ」
入学式の日の教室は五十音順で、ヒバリとミクニは隣同士だった。
懐かしい。いまより更に一年以上前。あの頃は、昴夜を好きになることはもちろん、侑生と付き合うことなんて想像もしていなかった。
「……本当に大丈夫?」
そうして少し頬を緩めながら上履きに履き替える私は、少し不気味に映ったのだろう。
「大丈夫大丈夫。本当になんともないよ」
「…………」
「そういえば、誕生日に欲しいものって決まった?」
侑生の誕生日は九月二十日。ちなみにそれは、昴夜の誕生日でもあった。
「……考えとくけど、好きにしてくれていいよ」
この頃の私と侑生は、どんな関係だっただろう。さすがにそこまで細かいことは覚えていない。