リライト・ザ・ブルー
Re:03 Repose
 十四年後の私に、恋人はいない。

 最後に彼氏ができたのは大学生のときだ。小学生のときの初恋の人と大学で再会するなんて運命的なことをやってのけ、二年生のときに告白されて付き合った。誰が見てもごく自然な流れだった。

 でも、胸の奥には常に昴夜がいて、頭の片隅にはいつもあの日のことがちらついていた。私のせいで昴夜はいなくなってしまったのに、それなのに私は大学生になって、彼氏を作って楽しそうに過ごしていて、それでいいのだろうかと。

 それが原因というわけではないけれど、その彼氏とは卒業前に別れた。卒業後は司法試験を控えて恋愛をする気分ではなかったし、その後も出会いはなく、恋人を作らないまま七、八年が経過していた。

 それでも、それを気に病んだことはなかったし、むしろ安堵することがあった。昴夜はどうしているだろう、侑生には恋人ができただろうか、そう考えるとき、自分が二人より幸せではいけないような気がしていたから。
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