結婚できない症候群
一人が、体を寄せて来た。

「…睦美です。」

「睦美ちゃん、よろしく~~~!」

俊介という人が、手を差し出して来た。

「よろしくです。」


力のない握手。

これも社交辞令だ。


「で?麗奈ちゃんは、今彼氏いないの?」

「いないよ~俊介君は?」

「俺もいない。」


相手の男が麗奈と、話に花を咲かせるのは、いつもの事。

こういう時、私は一人でお酒を飲んでいるのが、お約束。

そう言えば、もうZEAのライブ、始まってるかな。

私はお店の時計をちらっと見た。


「ねえ、睦美ちゃん。」

「はい?」

ふいに俊介さんに、声を掛けられた。

「何か用事でもあったの?」

「あっ、いえ……」

「じゃあ、つまらない?俺らと一緒にいるの。」


そんな事言われたの、初めてだ。
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