この初恋はもう不可抗力
信じられない⋯。
そして、その隣にいる彼が「絃」と呼んだ男の子に目を向ける。
ブカブカのパーカーを着ていて、辺りが暗いせいで顔はよく見えない。
見えないから、よく見ようとする。
あまりにもじーっと見つめすぎていたのか、彼が顔を上げてこっちを見た。
目が、合った。
やばいっ、そう思った時はもう十分というくらいに遅かった。
バイクから彼は立ちこちらに歩いてくる。
1歩1歩こちらに近づいてくるうちに彼の顔がよく見えるようになって、それが神楽会長であることに気づいてしまった。