千年前の恋を忘れずにいたら、高貴な御曹司の最愛になりました。
 ネックレスを受け取ろうと窓の方へ手を伸ばしたら、彼がサッと手を引いた。

 え⁉ 

「もしかして、恋人からの贈りものとか?」
「なっ……」

 私が誰もすきになれないことを知っているのに、よくそんなことが聞けるのかと睨みつけようとしたが、彼の方が何倍も不機嫌そうな顔をしている。

 なぜあなたがそんな顔をするんですか……? 

 そう問いたいのをぐっとこらえて、「違います」とだけ口にすると一転。笑顔になった彼が、助手席を指さす。

「よかった。じゃあ、とりあえず乗って」

 なにが『よかった』ので、なにが『じゃあ』なのか……さっぱりわからない。ネックレスをこの場で渡してくれれば済むだけなのに、なぜ車に乗る必要があるというのだろう。
 無言で立っていると、彼の視線が私の手元をチラリと見た。

「寒いし、荷物も重いだろう? 送って行くよ」
「いえ――」

 もうすぐ近くなので結構です――と断ろうとしたが、彼の方が早い。

「乗ってくれたらこれは返すから」
「……っ」

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