千年前の恋を忘れずにいたら、高貴な御曹司の最愛になりました。
 ***

 食事の後、東雲さんのマンションに帰りついたとき、運転手さんがトランクから出してくれた荷物の数に驚いた。私達だけでは手が足りず、出迎えてくれたコンシェルジュが部屋まで一緒に運んでくれたくらいだ。

 部屋で荷物を開いてさらに驚いた。彼が見ていた商品だけでなく見覚えのないものまで様々な品が出てきた。

 言葉を失っている私の隣で、東雲さんが山のような買い物の中からひとつを取り出す。

「あ……それって……」

 彼が手に取ったのは、あのとき見ていた夫婦茶碗だ。同じ紙袋の中からカップや箸も出てきた。

「これで毎朝一緒に食事を取るというのはどうだろう」
「え……」

 藪から棒な提案に目をしばたたく。

 朝食を一緒に食べるくらいならできないこともない。この二日間、食事はキッチンを借りて用意してから、二階の自室に運んでから食べていたけれど、次からはそのまま一階で食べればいいだけだ。

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