千年前の恋を忘れずにいたら、高貴な御曹司の最愛になりました。
「きっと似合うだろうとは思っていたけれど、思った以上だ。最初から美緒のために作られたのかもしれない」
「そんなわけありません」

 否定の言葉などまったく聞こえていないかのように、彼はまぶしげに目を細める。

「本当にきれいだよ、美緒」
「あ……りがとう、ございます……」

 赤い顔を背けながらもごもごとお礼を言った。反論しようものなら、この後甘い言葉が三倍にも四倍にもなって返ってくることは、とっくに学習済みだ。
 とにかく早くこの話題から離れよう。なにか別の話題を……と頭を巡らし、ふと思い出した。

「そういえば、さっきなにか言いかけていませんでしたか?」

 私がそう言うと「ああ」と思い出したようにつぶやいた彼が、ローテーブルの上に置いてある小さな紙袋の中からなにかを取り出した。

「はい、これ」
「えっ!」

 彼が開いた小さなケースの中には、ひと粒ダイヤのイヤリングが入っていた。

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