千年前の恋を忘れずにいたら、高貴な御曹司の最愛になりました。
「これ……」

 驚きすぎて言葉が続かない。どうしてこんなものを――と思っていると彼が言う。

「きみに似合うと思って用意したんだ。よかったらつけてみてくれないかな?」

 伺うように言われて、彼の手の中をじっと見つめる。ビロードのケースの中で小ぶりなダイヤが輝いている。

 久々に髪をアップにしたため、イヤリングがあればよかったと思っていたところだった。さすがにアクセサリーまでは持って出なかったのだ。唯一手元にあるひと粒ダイヤのネックレスとまるでおそろいのようにぴったりだ。

 今日が終われば返せばいいわよね……。

 借りるだけなら大丈夫と、誰に向けているのかわからない言い訳を頭の中で唱え、小さくうなずいた。

「よかった。じゃあ、さっそくつけてみようか」
「ありがとうございます」

 彼の大きな笑顔に胸の中がふわっと温かくなるのを感じながら、両手を皿のようにして差し出した。けれど――。

「違うよ、美緒。横を向いて」
「え?」
「つけてあげる」
「え!」

 思わず大きな声を出した私に、彼は笑顔のまま「今日のチャレンジ」と口にする。

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