スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
(でも、きっともう二度とないことだもの)

 一体いつまでライザスの心はリリアに向いているのだろう。
 これからもスキルを付与し続けるのだろうか。
 果たして今までと同じようにリリアへの愛に関するスキルが付与されるだろうか。
 
(いやだわ。私ったら、旦那さまがこのままでいてほしいなんて……)

 ライザスのリリアへの愛は本物ではない。
 いつか冷めていくものだ。
 わかっていてもずっとこのままでいたい。

(本当、完全に私の片想いなのね)

 そう思うと悲しくなってきて、リリアはとなりに座るライザスの腕にそっと触れた。

「どうした? リリア。そんなに悲しい顔をするな。実家が社交界で立場を失ったことは残念だが、あなたが気に病むことはない」

 リリアはずるっと肩を落とした。
 的外れもいいところだが、おかげで少し元気が出た。

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