スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
「まったく気に病んでいませんわ。むしろすっきりしています」
「そうか。なら、今度王都で開かれる王室主催のパーティに俺と一緒に参加してくれるだろうか?」
「ええ。それは妻としてのお役目ですから」

 最初に条件として提示されたパーティに同席するというものをリリアは忘れたわけではない。
 ほどほどに仲睦まじい夫婦のふりをして周囲を誤魔化す。
 もしかしたらリリアが【贄嫁】だと知っている者もいるかもしれないが、それはそれで別にいい。
 ただ、夫婦としての体裁だけ保てればいいのだから。

(けれど、心配する必要はないわね)

 ライザスはリリアの肩を抱いて、髪を撫でながらにこにこしている。
 やはりスキルの不具合(エラー)かもしれない。
 どう見てもライザスはリリアを溺愛している。

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