スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
「ここ最近、周囲が輝いて見えるんだ。まるでこの世から悪が滅び去ったかのように」

(それはスキルのせいですわ)

「そして、リリアをより愛おしく感じてしまう」

(それは不具合(エラー)のせいですわ)

「キスくらい許してもらえないか? 夜まで待てない」

(どうやら深刻な不具合(エラー)のようですわ)

 リリアは近づいてくるライザスの肩を掴んで、羞恥に頬を赤らめながら答える。

「……わかりました。キスだけですよ?」

 了承するとすぐに、ライザスはリリアをソファに押し倒した。

「ちょっと旦那さま! この流れでいたしてしまおうなんてお考えではありませんよね?」
「バレたか。しかしもう遅い。この燃え上がる感情を自分では制御できない」
「だったら昼間に私とふたりきりになるのはおやめください!」

 リリアはライザスの肩をぽんぽん叩きながら制止しようとする。
 そのとき、部屋の扉ががちゃりと開いた。

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