スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
 パーティは3日後に開かれる。
 それまで貴族たちは賓客用の宮殿に滞在することになった。
 豪華な食事を楽しみ、美しい庭園を散策し、仲の良い貴族同士でティータイムを過ごす。
 リリアとライザスも穏やかに過ごしていたが、一部の貴族たちはふたりの様子を覗き見していた。
 ライザスは当然その視線に気づいており、わざとリリアの肩を抱いたり仲良くケーキを食べさせ合ったりしていた。

「ちょっとやり過ぎではありませんか?」

 パーティ前日の夜のこと。
 あまりに外でベタベタし過ぎたため、リリアは怪訝な表情で訴えた。
 しかしライザスにも言い分があった。

「あなたはご存じか? 俺たちの関係が偽物だと吹聴する者がいることを。それを払拭するには直接見せつけてやればいい話だ」
「私は周囲がどう言おうと気になりませんわ。旦那さまだけが私のことを理解してくださればそれでいいのです」
「それはそうだが……」

 ライザスはぐっと拳を握りしめ、苦悩の表情で訴える。

「あなたを自慢したい!」

< 152 / 174 >

この作品をシェア

pagetop