スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
 そして翌朝のこと。
 軽い朝食をとったあと、リリアは湯浴みをして髪を整え、用意したドレスを着用した。
 付き添いでやって来たマリーが準備を終えると、リリアを見て感嘆のため息を洩らした。

「リリアさま、すごくお綺麗です。花嫁衣装のときよりもずっと輝いて見えますよ」

 そう言われてリリアは照れくさくなり頬を赤らめながら「ありがとう」と言った。

 特注でオーダーしたドレスは淡い水色で生地にはラメが散らばっていて光の加減でキラキラ光る。
 会場ではシャンデリアの光に照らされて白く輝いて見えるだろう。

 髪型はアップにしてダイヤモンドの髪飾りがまばゆいほど輝いている。
 唇には自然なピンクのルージュが映えて見えた。

 これらすべてライザスが衣装屋からこのパーティのためだけに特別に取り寄せた。

「では旦那さまをお呼びしますね。少々お待ちください」

 そう言ってマリーが退室したあと、鏡を見たリリアは自分の姿に驚いた。
 あまりにいつもと別人に見えるから。
 そして、いつもよりずっと大人びて見える。
 これなら侯爵家の妻として堂々としていられるだろう。

 がちゃりと扉が開いた。
 マリーがライザスを連れて戻ってきたのだろうと思い、リリアは笑顔で振り向く。
 しかし、そこにいたのはリリアの妹たちだった。

「ごきげんよう、お姉さま」

 妹たちはクスクス笑っていた。

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