スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
 リリアのドレスは一層華やかになっていた。
 破れたはずの肩と腰の部分には生花で飾り付けがしてあり、ドレス全体が宝石を散りばめたようにきらめいている。
 魔鉱石の力でまばゆい衣装に様変わりしていた。

「う、うそでしょ? そんははずないわ!」
「認めたくないけど、綺麗すぎる」
「うるさいわよ!」

 マクベス姉妹は悔しそうにリリアを凝視する。
 リリアの両親は驚愕のあまり目を見開いていた。

「あれがリリアだと?」
「あ、あなた……これを利用しない手はないわ」

 眉をひそめるマクベス伯爵に向かって、夫人がにやりと笑った。

 *

 多くの人に好感を持って接してもらえたことで、リリアに少し自信がついた。
 正直、いろいろ言われることを覚悟していたが、意外にも声をかけてきた人たちは優しかった。
 ライザスが堂々とみんなの前で宣言したことも影響している。

「これは勘違いでも見栄でもなく、私は妻を心から愛している」

 ここまで堂々としているといっそ清々しい。
 周囲は恥ずかしそうにする者もいれば、からかう者もいた。
 いろいろな反応はあったが、少なからずライザスの今までのイメージを変えたことは間違いない。

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