スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
真っ赤な薔薇が咲き誇る庭園でぐるぐる回りながらはしゃぐ主人とその妻を見た騎士たちは呆然としていた。
「え……ライザスさまは元に戻ったのではないのか?」
「なんか、以前よりバカップル度が増している気がするのだが」
「お前、失礼なことを言うな。おふたりはご夫婦だぞ」
「それにしても、スキルは無効なのに一体どうしてあんなことに?」
そばでこっそり見ていたマリーが彼らに告げる。
「愛の力です」
*
その後、ライザスがスキルを求めることは二度となかった。
それどころか、彼はスキル付与のための【贄嫁】制度の廃止を訴える活動を始めたのだ。
ライザスはゼネシス男爵と交渉し、魔鉱石を魔力の弱い者たちの補助をするために用いることにした。
そうすると、魔導士たちは安定的な魔力を保持することができて、次第に【贄嫁】にされる女たちは減っていった。
彼女たちは代わりに魔導士としての仕事をきちんと得られるようになり、自活していったのだ。
リリアはライザスの取り組みに全面的に協力と補佐をした。
そして、リリアとライザスのプライベートはというと……。
ライザスが幾度も想像してはにやけていた金髪ふわふわのリリアにそっくりな娘に恵まれたようだ。
彼はますます妻と娘への溺愛が増大し、冷酷無慈悲の侯爵という異名は社交界ですっかり薄れてしまった。
代わりに変な噂がついてまわった。
【スキル無効の侯爵は家族への溺愛がすごい】
< 完 >
「え……ライザスさまは元に戻ったのではないのか?」
「なんか、以前よりバカップル度が増している気がするのだが」
「お前、失礼なことを言うな。おふたりはご夫婦だぞ」
「それにしても、スキルは無効なのに一体どうしてあんなことに?」
そばでこっそり見ていたマリーが彼らに告げる。
「愛の力です」
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その後、ライザスがスキルを求めることは二度となかった。
それどころか、彼はスキル付与のための【贄嫁】制度の廃止を訴える活動を始めたのだ。
ライザスはゼネシス男爵と交渉し、魔鉱石を魔力の弱い者たちの補助をするために用いることにした。
そうすると、魔導士たちは安定的な魔力を保持することができて、次第に【贄嫁】にされる女たちは減っていった。
彼女たちは代わりに魔導士としての仕事をきちんと得られるようになり、自活していったのだ。
リリアはライザスの取り組みに全面的に協力と補佐をした。
そして、リリアとライザスのプライベートはというと……。
ライザスが幾度も想像してはにやけていた金髪ふわふわのリリアにそっくりな娘に恵まれたようだ。
彼はますます妻と娘への溺愛が増大し、冷酷無慈悲の侯爵という異名は社交界ですっかり薄れてしまった。
代わりに変な噂がついてまわった。
【スキル無効の侯爵は家族への溺愛がすごい】
< 完 >