スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
5、スキル【溺愛】を身につけた夫の苦悩
一方その頃、ライザスはとんでもないことになっていた。
「くそっ! 飲んでも飲んでも気がまぎれない!」
何杯目かのワインを飲み、グラスをテーブルに置いたライザスは頬を赤らめながら壁を睨みつけていた。
そこには弓を引く騎士の絵画が飾ってある。
ちょうど右側に満月があり、左側に人の顔、そして大きく歪曲した矢が空へ突き出すそれは、まるで嘲笑しているような図に見えてライザスは余計にイラついた。
荒い呼吸をしながら、うまく酔えない自分にも苛立つ。
「何なんだこれは……頭の中がおかしくなっている!」
ライザスは額に手を当てて苦悶の表情をする。
あの儀式のときの純白のドレスを着たリリアの姿が頭にこびりついて離れないのである。
初対面のとき、たしかに美しい顔立ちの女だと思った。
あの儀式のときもいつも以上に綺麗だと感じた。
だが、それだけだ。
女の容姿に心が動かされることなど今までになかった。
「くそっ! 飲んでも飲んでも気がまぎれない!」
何杯目かのワインを飲み、グラスをテーブルに置いたライザスは頬を赤らめながら壁を睨みつけていた。
そこには弓を引く騎士の絵画が飾ってある。
ちょうど右側に満月があり、左側に人の顔、そして大きく歪曲した矢が空へ突き出すそれは、まるで嘲笑しているような図に見えてライザスは余計にイラついた。
荒い呼吸をしながら、うまく酔えない自分にも苛立つ。
「何なんだこれは……頭の中がおかしくなっている!」
ライザスは額に手を当てて苦悶の表情をする。
あの儀式のときの純白のドレスを着たリリアの姿が頭にこびりついて離れないのである。
初対面のとき、たしかに美しい顔立ちの女だと思った。
あの儀式のときもいつも以上に綺麗だと感じた。
だが、それだけだ。
女の容姿に心が動かされることなど今までになかった。