スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
ライザスはおもむろに椅子から腰を上げ、執務室を出ていく。
「どちらへ行かれるのですか?」
「用事を済ませてくる。今日は一日俺のスケジュールは空いているはずだ」
「はい。ご出発の日までごゆるりとお過ごしくださいませ」
アベールはそれ以上何も言わず、にこにこしていた。
部屋を出たライザスが真っ先に向かったのは書庫だ。
彼はそこで本棚に目を走らせながら、まったく本を手に取ることもなく、ただ歩きまわっていた。
目線の先には帝国史や領地の歴史、古典的な文学など、さまざまな本が並んでいたが、彼はただ本の背表紙に書かれた表題を目でなぞっているだけだった。
頭の中は相変わらずリリアのことでいっぱいだ。
それを自覚するたびにいちいち頬が熱くなる。
そんな自分にも嫌気がさした。
しばらくすると、少し騒がしくなった。
リリアが侍女のマリーを連れて書庫を訪れたのだ。
ライザスはどきりとして、とっさに本棚の向こうに隠れた。
(な、なぜ、俺が自分の家で隠れなければならない?)
「どちらへ行かれるのですか?」
「用事を済ませてくる。今日は一日俺のスケジュールは空いているはずだ」
「はい。ご出発の日までごゆるりとお過ごしくださいませ」
アベールはそれ以上何も言わず、にこにこしていた。
部屋を出たライザスが真っ先に向かったのは書庫だ。
彼はそこで本棚に目を走らせながら、まったく本を手に取ることもなく、ただ歩きまわっていた。
目線の先には帝国史や領地の歴史、古典的な文学など、さまざまな本が並んでいたが、彼はただ本の背表紙に書かれた表題を目でなぞっているだけだった。
頭の中は相変わらずリリアのことでいっぱいだ。
それを自覚するたびにいちいち頬が熱くなる。
そんな自分にも嫌気がさした。
しばらくすると、少し騒がしくなった。
リリアが侍女のマリーを連れて書庫を訪れたのだ。
ライザスはどきりとして、とっさに本棚の向こうに隠れた。
(な、なぜ、俺が自分の家で隠れなければならない?)