スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい

6、夫に初夜を求められています

「どうしよう。最近、旦那さまを怒らせてばかりだわ」

 リリアは悩んでいた。
 ライザスと出会わないように慎重に行動しているつもりなのに、いつもばったり出くわしてしまうのだ。
 そのたびにライザスは不機嫌な顔でリリアを睨むか、あるいは無視するのだった。

 食事のときもライザスより早く行くつもりが、毎回先に彼がいる。
 マリーに誘われて剣の訓練所を見学したときも、ライザスはリリアを見て急に怒りの表情になり無言で立ち去った。
 許可を得ずに見学に行ったことを怒っているのかもしれない。

「はぁ……困ったわ。もう本当に、部屋から出ないほうがいいわね」
「大丈夫ですよ。まったく問題ありません。むしろいい傾向です」
「そうかしら?」

 何がいいのか、リリアにはさっぱりわからない。

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