スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
「俺はこの魔鉱石でより強くなるんだ。帝国一の力を手に入れてやる」

 兄は水魔法には特化しているが、火の魔法がいまいちだ。
 魔鉱石を手にして火の魔法を自在に扱えるようになりたいのだろう。
 兄に続いて妹たちも魔鉱石のことを口にした。

「魔鉱石って本当に美しい輝きを持つものなのよね」
「あたし、魔鉱石で作ったネックレスでパーティへ行きたいわ」

 妹たちは魔法が使えないので、魔鉱石で作られた宝石を身につけることを楽しみにしているようだ。

 なぜリリアよりも力を持たない彼女たちが父に優遇されているのか。
 それは彼女たちは正妻の子であり、リリアは妾の子であるからだ。

 リリアが生まれたときはまだ母とふたり暮らしだった。
 裕福な暮らしはできなかったが、母はたっぷり愛情を与えてくれてリリアはまっすぐ育った。
 しかしリリアが11歳のときに母は亡くなった。

< 8 / 174 >

この作品をシェア

pagetop