スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい
 しかし、今はそれよりも何よりも、彼女に言いたいことがある。
 ライザスはベッドに近づいて、リリアに笑顔で声をかけた。

「リリア、ありがとう。あなたは素晴らしい」
「え?」

 意味がわからないというふうにリリアは首を傾げる。

「あなたに会えると期待していたが、まさかこんなに素晴らしい贈り物まで」
「え、ええっと旦那さま、一体何のことで……」
「ああ、すまなかった。喜びのあまり挨拶が遅れてしまった」

 ライザスはきちんと姿勢を正し、丁寧にリリアに挨拶をした。

「ただいま、リリア。仕事を終えて戻ってきた」
「はい。おかえりなさいませ。ご無事で何よりですわ」

 リリアは笑顔で答えた。
 彼女の元気そうな姿にライザスは心底安堵する。
 そして彼はくるりと振り返り、医者に向かって険しい顔で訊ねた。

「それで、腹の子は今どんな状態だ? 妻も子も大丈夫なんだろうな?」

 医者は「は?」と呆気にとられる。

「だ、旦那さま……」

 リリアが慌てて声をかけるが、ライザスは医者に再度詰め寄った。

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