ド天然でも鈍感でもありません。
プロローグ
「好きです…!」
教室は今日も騒がしかった。
脇目も振らずに告白をする女子生徒。
相手は私の幼なじみ、レオン。私はレオと呼んでいる。
様子を見ていると、レオは後ろ姿からも分かるくらいに格好を付けていた。
「ありがとう。でも、」
女子生徒は顔を手で覆った。
「俺の好きなタイプと真逆なんだよね」
「えっ」
教室内は凍りついた。
初めて聞いたレオの冷たい台詞である。
女子生徒の付き添いであろう友達が、一番目を見張っていた。
廊下にいた生徒達も一つの静けさを見つけて、私がいる1年A組の観客になろうと生徒が一人二人と増え始めた。
「俺、長身でロングヘアーの子が好きなの。それにサラサラの」
「えっ…と」
「だから、君、背は低いし髪も短くてポニーテールもできないよね。天然でも無さそうだし」
「は、はあ」
「物分り良いじゃん」
じゃ、と言いながらレオは教室を出ていった。
< 1 / 10 >