恋の甘さはヘビィ級
プロローグ






ぷちんッ



「お、お前なあ………っ!!」





背を反らした途端、ワイシャツのボタンは宙を舞い上がった。



胸元は正常。

そう思っていたこれまでの自分を呪ってやりたい。



「それ、どうにかしろ!」



誰もいない学園の中庭で、二人、詰め寄られたところを反射的に避けた始末であった。


胸元の谷という間が露わになった姿を見るのは一人、意中の相手だけ。



「いやよ」



これは私のプライドだ。


「どうしてだよ…」


項垂れられても、容赦はしない。

これだけが、貴方への唯一の武器、そう、思っていたから。






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