ド天然でも鈍感でもありません。
ケイは、メイと婚約をしている。
私はメイを横目でチラリ、と見た。
両肘をひざにつき、両手で顎を支えて小さくなっていた。
173cmあるメイがとても小さく可愛らしく見える。
身長とは見合わない幼顔が、更に愛らしく。
「レオンもだよね」
ふくれっ面のケイが、レオの脛に軽く一蹴りする。
「…フっ」
レオは軽くあしらって、長い脚を組んだ。
180は越える勢いの俺様レオは、今日も私達の前にだけ本物の姿を見せている。
私もその脚を蹴り上げたかった。
その時、くしゃくしゃ、と私の頭をレオの手が撫で回してきた。
「もう!」
髪型が崩れる、と私はむくれた。
あの日から私はレオの前にいる時、決まってツインテールにする。
大人に決められた「仲良く」のルールも、今となっては重く重く伸し掛るだけしかない法律上のルールと化して。
私達は婚約者となった。
「もういっそ、伸ばそうかしら」
ロングヘアーはこのうねった髪ではケアが大変になる。そう思って、あえて中途半端に伸ばさないできた。
けれどレオの好みなのであれば。
「いいんじゃない?」
私の崩れた髪を、ヘアゴムから解放した。
あの頃から変わらない栗色の髪を、レオは、メイとケイもいる中で脇目も振らずにキスを落とした。
「このド天然さん」
そして髪に指を通した。