レンズ越しの君へ
「涼太、今日から家庭教師をしてくれる風見菜穂ちゃんよ。」

涼太君っていうのか。

「よ、よろしくお願いします!」

涼太君は私を上から下までひと通り見た。

「…こちらこそよろしくお願いします!菜穂先生!」

菜穂、先生?

なんだか悪くない響きかもしれない。

「俺、数学がすごく苦手で…頑張るのでお願いします!」

それに素直でいい子そう。

「じゃあさっそく、部屋で勉強しましょう!」

「3時になったらみんなでおやつ食べましょうね。」

恵海ちゃんと志歩さんに見送られ、私は生まれて初めて男の子の部屋に入った。

涼太君の部屋は至ってシンプル。

勉強机ににベッド、棚にはバスケットボールのシューズ、壁にはユニホームや写真なんかが飾ってある。

男の子の部屋ってこんな感じなのか。

お兄ちゃんの部屋にははいったことはあるけど、あれは兄妹だしカウントされないよね。

それにお兄ちゃん、バリバリのインドア派だから本ばっかりあったっけ。
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