レンズ越しの君へ

いる、よね?

コンコン。

ノックしても返事がない。

もしかして、いないの?

「お邪魔しまーす…涼太君?」

すると中から気持ちよさそうな寝息が聞こえてきて。

恐る恐る部屋に入ると、涼太君はベッドで気持ちよさそうに眠っていた。

今日も午前中は部活だったのかな?

そりゃあ運動したあとじゃ、疲れてるよね。

こうして寝てるとほんとにあの言動は想像できない。

押さなくって、使い方は変かもしれないけどかわいい。

もうちょっとだけ、寝かしてあげようかな。

あ、でもこれって職務怠慢になっちゃう?

どうしよう…

「キャッ…!」

すると急に腕が引っ張られ、体のバランスを崩してしまった。

「…菜穂せんせ、俺の寝込み襲っちゃうの?やーらしい。」

っ…

近づいた顔に思いっきり体をのけぞらせる。

「ち、ちがう!」

「冗談だよ、むきになっちゃってかーわい。」

楽しそうにニヤリと笑う涼太君。

もしかして、はめられた!?

寝たふりしてたの!?

完全に私、からかわれてるよ…
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