レンズ越しの君へ
その日のお風呂あがり、ぼやっと映る鏡の中の私。

相変わらず地味。

コンタクトにしてみたら、って何回か言われたけど、なんだか怖くてできないんだよね。

にしても、今日の涼太君には驚いた。

だってあのあと、ちゃんとずっと真面目に勉強してたんだから。

いや、それが本来の受験生のあるべき姿なんだけど。

でもおやつのプリンさえ断って勉強してたんだからすごいよね。

なんで私なんかと出かけたいって思うのかな。

涼太君、きっと学校じゃモテモテだろうし。

三つも年上の私なんかなんの魅力もないのに。

それに私も、三つも年下の中学生にあんなに戸惑わされちゃって。

しかも私達は家庭教師と生徒っていう関係。

いやいや、ない。

ありえない!

「菜穂ー、ご飯できたよ!」

「は、はーい!」

おばあちゃんに呼ばれて正気に戻る私、少し変なのかも知れません。
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