レンズ越しの君へ
恥ずかしいよ!

でも…

ああ!

もうどうにでもなれ!

私は震える手でフォークを涼太君の口に運んだ。

そのせいで唇の端にクリームがついてしまう。

それをぺろっとなめた涼太君。

「ん、おいし。じゃあ、はい。」

そして差し出されたフォークの先に刺さった涼太君が頼んだチーズスフレ。

えっ!?

「お返し、はい、菜穂ちゃんもあーんして?」

いやいや!

それは絶対に無理!

こんな公共の場で!

「涼太君…!」

「何その顔、すっげえかわいいんですけど。ほら、アーン。」

目の前に近づいてくるケーキ。

私は目をぎゅっとつむった。

「おいし?」

その言葉にコクリとただ無言で頷くことしかできない私。

「顔真っ赤にしちゃって。ほんと菜穂ちゃんはかわいいね。」

さっきから涼太君のペースにのせられっぱなし。

「わ、私!トイレに行ってくる!」

もうこれ以上は無理!
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