レンズ越しの君へ
「ありがとう。」

瀬戸口君は一ノ瀬君と同じクラス、同じ生徒会ということで生徒会の爽やかダブル王子なんてアダ名があるらしい。

同じく生徒会の、一つ下の後輩、相原なるみちゃんが教えてくれた。

「明日俺の妹も来るんだ。受験生なのに家でゴロゴロばっかしてるよ。」

へえ、瀬戸口君って妹さんいるんだ。

なんだか頼れるお兄ちゃんってかんじだもんね。

一ノ瀬君も弟さんと妹さんがいるし、そういうところでも気が合うのかも。

「それに今度の花火大会も彼氏と行くんだとか言って浮かれちゃって。あいつ、本当に合格できるのかな。」

中学生で彼氏と花火大会!!

すごいなあ。

最近の中学生は進んでる。

「風見は予定あるの?」

予定って、花火大会のことかな?

たしかその日は土曜日、バイトの日だ。

「うん、家庭教師のバイト。」

「それって、夜?」

「ううん、夕方まで。」

すると瀬戸口君がひとつゴホンと咳をした。
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