レンズ越しの君へ
説明しても涼太君の顔は機嫌悪そうなまま。

「ふーん…」

そしてジリジリと近づいてくる。

私はズリズリ後ずさる。

な、なに!

「あっ、そうだ!」

今度は何?

「今週花火大会あるじゃん、センセ、一緒に行こう?」

花火大会…

この前瀬戸口君に誘われたのだよね。

どうしよう…

「もしかして、誰かと約束してんの?」

その質問に私は頷いてしまった。

まだ瀬戸口君に言ってないのに!

「ふーん、友達?」

友達、だよね?

「うん、…ごめんね。」

「いいよ、別に。そのかわり、またデートしてね。期末良かったご褒美、まだもらってないもん。」

そういえば言ってたっけ。

期末テストがほぼ満点に近かった涼太君。

「涼太ー!また勝手にどっか行きやがって!」

涼太君のお友達が走ってやってきた。

「はいはい、じゃーね、せんせ。」

中学生の制服と、高校の制服。
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