レンズ越しの君へ
「ごめんね、待った?」

「ううん、今来た。」

今日は花火大会。

周りは浴衣に身を包んだ可愛い女の子がたくさん。

そんななから私は私服。

だってなんか、浴衣はちょっと気合入りすぎみたいに感じる。

「来てくれてありがとな。」

瀬戸口君がにっこり笑う。

「じゃあ屋台の方、行ってみよっか。」

人混みがすごくて迷子になりそう。

「風見、何食べたい?」

「えっと…アイスかな。」

今暑いし。

「いいね。アイス、食べよう。」

瀬戸口君がアイスを買ってくれて。

「お金払うね、200円だっけ。」

「いいよ、これくらい奢らして。」

そんな…悪いのに。

「ありがとう。」

瀬戸口君って優しい。

それから屋台を二人で回った。

たのしい。

それなのに、私はあることが気になっていた。

それは涼太君のこと。

もしかして、誰かと来ているのかな。

とか、そんなことを考えてしまう。
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