レンズ越しの君へ
瀬戸口君は友達だし、間違ってはいない。

でも涼太君はそれをどう思うのかな。

って、なんで私、そんなこと気にしてるんだろう。

私と瀬戸口君が花火大会にきてることが涼太君にとって気になることになんかならないのに。

「風見?」

無意識のうちにキョロキョロしてしまったみたい。

「何でもない!まだなにか食べる?」

「うーん、ご飯っぽいもの、かな。」

私たちは焼きそばの屋台に並んだ。

それが間違いだった。

「センセ?」

「涼太、君…」

なに、

なんでなにかいけないことをしてしまったようなこの気持ち。

なんでそんな目で私を見るの?

「りょーた!なにしてんの!早く行くよー。」

そして涼太君の腕に纏わりついた女の子。

「知り合い?」

瀬戸口君が私に聞いた。

どうしよう…

なんて言えばいいんだろう。

「家庭教師の先生。それだけだよ。」

涼太の静かな声がした。

とても冷たくて、私の心に突き刺さる声。

なんでこんなに、胸が痛むの?

だってその通りじゃない。

私は涼太君の家庭教師で、私の生徒である涼太君。
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